法話集

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読む法話「ご法事とは」 (和水町 玉関組 正元寺 寺添真顕)

2023/09/01 09:00

 コロナが流行りだした頃から、ご法事のお約束をいただく際に「今回の法事、家族しかいませんが、それでも良いですか?」とお尋ねされることがあります。

 2か月程前にも同様の事を電話で聞かれましたので、私が「なぜ、そのようなことを心配されるのですか?」と聞くと、「やっぱり少ないより多い方が良いと思うのですが、子ども達が遠方に住んでいて、コロナが心配で呼びきらんとですよ」とのお答えでした。

 私は「人数は関係ありません。ご縁に遇われる方が多い方が望ましいですが、少ないからと言って心配する必要もありません。詳しくはご法事の時にお話しします」とお伝えしました。

 法事当日にお宅に伺い、お衣に着替えてお経さまを拝読した後に少しばかり仏様のお話をさせてもらいました。

 話の冒頭に、「なぜ以前は大勢でご法事を務めていたのでしょうか?」と聞くと、すかさず一番年嵩の方が「人数が多い方があの世に行った人が喜ぶからでしょう?」と言われました。私が「それでは、少なかったら悲しまれますか?」と聞くと、同じ方が「多い方が迫力があるし、やりがいがあるがある」と答えられました。みなさん如何でしょうか?私たちは先に仏様になられた方に、何かしてあげられる力を持ち合わせているのでしょうか?実は逆なのです。先に亡くなられて仏様となられた方が、私の事を心配し、仏様のご縁に呼んでくださっているのです。

 それではなぜ、私は心配されなくてはいけないのでしょうか?それは、法律的・道徳的に問題なかったとしても、仏様から見た私の姿が、決して褒められたものではないからです。

 それどころか、仏様と真逆の存在なのが私だからです。いつまでたっても自己中心であり、思い通りにならなかったら怒るし、自分の事、周りの事を知っているようにしながら、実は知らないことばかりであると、あげればきりがありません。

 ご法事とは、先にお浄土に還られた方を縁として、私が仏様のみ教えを聴かせていただく中で、仏様と比べてどうしようもない私を、絶対に救うと立ち上がり、至りとどいてくださった仏様のご恩を歓ぶ場所でありました。