法話集

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読む法話「如来大悲の恩徳は 身を粉にしても報ずべし  師主知識の恩徳も 骨をくだきても謝すべし」 (上天草市 天草上組 観乗寺 藤田慶英)

2023/11/01 09:00

 こんにちは。天草の藤田と申します。この度は、阿弥陀如来様の大悲、広大なお慈悲を皆様方と味わいたいと思います。
 「大悲」とは「大慈悲心」の略でありまして、簡単に申しますと「慈」とは「あなたの幸せがこの阿弥陀の幸せ」という他の幸せを純粋に願う心です。「悲」とは、「あなたの痛み・苦しみがこの阿弥陀の痛み・苦しみ」というお心であります。この大悲のお心を今日はテーマにしたいと思います。
 私は森進一さんの名曲、「おふくろさん」が大好きです。この歌詞の中で「雨が降る日は傘になり おまえもいつかは世の中の傘になれよと教えてくれた」という歌詞があります。この短い歌詞の中に息子と母親の半生が描かれているように感じます。息子が小さい頃、息子が辛いとき、ずっと息子を守り続けた母の姿。そして一人前の男になって社会の一員となり、家族を支え世の中を支える男になってほしいという母の願いが込められています。
 1971年、森進一さんはこの「おふくろさん」で、日本レコード大賞の最優秀歌唱賞を受賞します。この授賞式で森進一さんはおそらく人生で一番激しく「おふくろさん」を歌ったのではないでしょうか。目に涙を浮かべて森進一さんは「おふくろさん」を歌いました。おそらく自らの人生に重ねて歌っていたのではないでしょうか。決して順風満帆とはいえない演歌歌手人生、ずっと森進一さんのお袋さんが支えてくれた。「ありがとう、おふくろ」そういう思いで歌ったから、あれだけ激しい歌唱になったのではないかと推測するのです。

 テレビの前か観客席かで本当の森進一さんのお袋さんがこの歌を聴いてどう感じていたでしょうか?最愛の息子が日本で一番歌が上手だという賞を取ったのです。本人同様に涙を流して喜んでいたのではないでしょうか。

 あなたの幸せは私の幸せ、この娑婆世界で阿弥陀様のお慈悲のお心をおたとえするものがあるとしたら、私はこの親心しか思いつきません。人間は子どもに対してだけですが、阿弥陀様の大悲は生きとし生ける命すべてに届き、「この阿弥陀に任せなさいよ、必ず助けますよ」と私たちに常に届いているのです。そのおよび声が南無阿弥陀仏の6文字なのです。